マネジメント×コーチング ビジネス

そのExcel顧客管理、危険です。バージョン管理地獄から脱却する方法

この記事のポイント

  • Excelによる顧客管理の最大の欠点は「バージョン管理が困難」であること。これが多くの悲劇を生んでいます。
  • 「どれが最新ファイルか分からない」状態は、データの不整合や更新漏れといった致命的なミスを引き起こし、生産性を著しく低下させます。
  • Googleスプレッドシートなどのクラウド型アプリを使えば、「いつでも誰もが最新のファイルにアクセスできる」状態を簡単に作れます。
  • しかし、本質的な問題はツールではなく、「非効率なやり方」を疑わず、改善しようとしない組織の姿勢にあります。

元IT屋が見た、あるイベントの「顧客管理地獄」

今日は趣向を変えて、少しIT寄りのお話を。私は2001年に情報システム企業に就職して以来、プログラムを書いたり、様々なクラウドアプリを試したりと、比較的ITには明るい方です。

そのせいか、たまにそっち系の相談を受けることがあるんですが、今回はその中でも特に印象的だった、ある町おこしイベントでの出来事をご紹介します。

友人に頼まれてそのイベントを手伝うことになり、私が担当したのはイベント参加者の申し込み管理でした。状況を聞いて、私は卒倒しかけました。申し込み情報は、

  • 受信した電子メール
  • それを印刷した紙の束
  • 山積みのFAX用紙

この3種類でしか存在しない、と言うのです。

「え、それ…どうやって参加者リスト作るの?」と尋ねると、担当者の方は平然と「メールを一件ずつコピペして、紙の分は手で打ち込んで、Excelの表にする」と答えました。元IT屋として、これは許しがたい(笑)。結局、たった120名の参加者データを一覧にするのに、3日もかかってしまいました。

なぜ今、顧客管理にExcelを使うべきではないのか?

この笑えない話の重要なポイントが、「Excelで管理する」という部分です。

もちろん、Microsoft Excelは非常に優秀なソフトウェアです。簡単な名簿作成から複雑なデータ分析まで、本当に色々なことができます。多くの企業で、顧客名簿や勤怠管理などに使われているのも知っています。

しかし、こと「複数人で情報を共有・更新する」という使い方においては、今の時代、Excelは最適解ではない、というのが私の考えです。その理由は、Excelが抱える、ある致命的な欠点にあります。

致命的な欠陥:ファイルの「バージョン管理」ができない

バージョン管理。簡単に言えば、「どのファイルが最新で、どれが正しい情報なのか分からなくなる」問題のことです。

あなたも、共有フォルダの中でこんなファイル名が乱立しているのを見たことはありませんか?

  • 顧客名簿1120.xls
  • 顧客名簿1120更新.xls
  • 顧客名簿1120修正版.xls
  • 顧客名簿1120最終版.xls
  • 顧客名簿1120(本当の最終).xls

さあ、どれが最新の正しいファイルでしょうか?どのファイルに新しい顧客データを追加すればいいか、即座に判断できますか?

自分一人で管理しているうちはまだマシかもしれません。しかし、これを複数人のチームでやっていたら、どうなるでしょう。誰かが古いファイルを更新してしまうかもしれない。データの重複や更新漏れが頻発し、リストはぐちゃぐちゃになり、取り返しのつかない事態に発展してしまうのです。

(追記)今はExcelもクラウドで使う方法があるようですね。問題は使う人が「そういう方法がある」と知っているかどうかですが…(汗)

【解決策】クラウドアプリで「いつでも誰もが最新」を実現する

先ほどのイベントでも、まさにこの「ExcelファイルをLINEグループで共有し、各自が記入したものをまた送り返し、担当者が一つにまとめる」という、恐ろしく非効率でミスの温床となるやり方が行われていました。

しかし、幸いなことに、今はこうした問題を一瞬で解決してくれる便利なツールがあります。それが、Googleスプレッドシートのような、クラウド上で動くアプリです。

Googleスプレッドシートは、Excelとほぼ同じ機能を持ちながら、無料で利用できます。Excelとの決定的な違いは、サーバー上にある「唯一のファイル」に、複数の人が同時にアクセスして直接編集できること。これにより、「どれが最新だっけ?」と迷う必要は一切なくなり、常に全員が最新の情報を共有できるのです。

結局、私はそのイベントを3年間手伝いましたが、2年目からは顧客情報をすべてクラウドのスプレッドシートに移行し、手入力や更新漏れといった煩雑な手続きを完全に撲滅しました。その結果、顧客管理にかかっていた膨大な手間と時間を大幅に削減できたのです。

本当に重要なのは「ツール」ではなく「改善意識」

さて、ここまで読むと「なるほど、これからはクラウドを使えばいいんだな」と思われるかもしれません。しかし、本当に重要なのはそこではありません。

今回の話の本質は、「今やっている仕事に、無理・無駄・ムラはないか?」「それらを、もっと良い手段で解決できないか?」と、常に問い続ける姿勢を持つことです。

世の中には、優秀な人たちが作った便利な解決策(商品やサービス)が、すでにたくさん出回っています。私たちが抱える課題のほとんどは、何らかの技術や工夫で解決できる時代です。

特に中小企業では、ITに詳しい人材が不足していることもあり、こうした非効率なやり方が「当たり前」として放置されがちです。しかし、「どうにかして、もっと楽に、もっと効率的にできないか?」と考え、時には外部の専門家に相談してみる。その少しの好奇心と行動が、会社の生産性を劇的に向上させるきっかけになることも少なくありません。

年末も近づいてきました。この機会に一度、あなたの会社の「当たり前」を見直してみてはいかがでしょうか。そこには、大きな改善のヒントが眠っているかもしれませんよ。


この記事を書いた専門家

中城 卓哉(なかしろ たくや)

パワーコーチ株式会社 代表取締役
経営者・管理職専門のビジネスコーチ

「私たちは夢を叶える会社です」を経営理念に、経営者や管理職が抱える「人の問題」に特化したコーチングを提供。科学的な理論と豊富な現場経験に基づき、幹部育成、チームビルディング、組織のビジョン設定などをサポート。クライアントが本来持つ能力を最大限に引き出し、ビジョンの実現に貢献することをミッションとする。「在り方」と「やり方」の両立を重視し、小手先のテクニックではない、本質的なリーダーシップ開発に定評がある。

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