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【中間管理職必見】上司の「期待」を部下への「信頼」に変える、板挟み脱出法

この記事のポイント

  • 上司からの高い要求と、部下の現状との間で板挟みになるのは、中間管理職の宿命とも言える悩みです。
  • この状況を乗り越える鍵は、「期待」と「信頼」の違いを理解し、部下への関わり方を変えることです。
  • まず、部下の現在の頑張りを全力で「承認」し、その上で「あなたはもっとできる」と未来の可能性を「信頼」して伝えます。
  • 上司からの厳しい「期待」を、部下へのポジティブな「信頼」のメッセージに変換し、伝えることこそ、中間管理職の重要な役割なのです。

「上からはもっとやれ、でも部下はもう頑張ってる…」中間管理職の苦悩

「上司と部下の間で、どう振る舞えばいいのか分からない…」

これは、中間管理職の方から本当によくお受けするご相談です。今回は、ある課長職のYさんの事例を元に、この根深い問題へのヒントをお届けします。(守秘義務に配慮し、細部は変更してお伝えしますね)

【ご相談の事例】部長と部下Aさんの間で板挟みになるYさん

Yさんの部署には、部下のAさんがいました。Aさんは「能力は高いけれど、コミュニケーションが苦手」というタイプでしたが、Yさんの粘り強い指導のかいもあって、最近では苦手なチームプレーにも挑戦し、目に見えて成長していました。

「Aさんがね、チームプレーを本当に頑張ってくれてるんですよ。もちろん、まだまだ未熟な部分もあるんですが、あの頑張りを見ていると、心から応援したくなるんです」

Yさんは、そう嬉しそうに報告してくれました。しかし、続けて彼の表情は曇ります。

「ただ…私の上司である部長が、Aさんに対してすごく厳しいんです。『あれじゃまだまだだ。もっと成果を出してもらわないと困る』と。私としては、Aさんがようやく頑張り始めたところだし、ここで厳しく言ったら心が折れてしまうかもしれない。だから、部長の話は本人には伝えないでおこうと思うんです…」

この状況、あなたにも身に覚えがありませんか?上からは「もっとやれ」とプレッシャーをかけられ、下を見れば、部下は部下で自分なりに必死で頑張っている。この板挟み状態で、どう振る舞うのが正解なのでしょうか。

コーチング的回答:「承認」と「信頼」の二段構え

この問題に、唯一絶対の「正解」はありません。Yさんのように、上司の厳しい言葉を自分の胸の中にしまっておくのも一つの愛情でしょう。あるいは、「もっとできるはずだ、頑張れ!」と、松岡●造さんのように熱く檄を飛ばすのが功を奏する場合もあるかもしれません。

その上で、私がコーチとしてYさんにお伝えしたのは、「承認」と「信頼」の二段構えで関わる、というアプローチでした。

  1. まず、Aさんの今の頑張りを全力で「承認」する
  2. そして、Aさんはもっとできると「信頼」し、それを伝える

まず、Yさんは誰よりもAさんの頑張りを知っています。その事実を、具体的な言葉にして伝えるのです。「Aさん、今回はすごく頑張ったね。苦手なことにチャレンジして、ちゃんと成果を出せたじゃないか」と。

そして、その頑張りをしっかりと承認した上で、未来の可能性に目を向けさせます。「でもな、俺はAさんにはもっと力があると思ってる。こんなもんじゃないだろ?もっとすごい力を発揮して、部長をアッと言わせてやろうぜ」と。

「期待」と「信頼」の決定的な違いとは?

「そんなことを言ったら、プレッシャーで潰れてしまうのでは?」と心配になるかもしれませんね。確かに、「頑張っても頑張っても、もっと上を求められる」のは辛いことです。

しかし、このアプローチの場合、その心配はあまりありません。なぜなら、これは「期待」ではなく、「信頼」を伝えているからです。

この二つの言葉の違いを、私はこう定義しています。

  • 期待:見返りを求めるもの。相手が期待に応えられないと、がっかりしたり、責めたりする。→ 部下にとってはプレッシャーになる。
  • 信頼:見返りを求めないもの。相手が信じた通りにならなくても、その選択を尊重し、肯定する。→ 部下にとっては安心感になる。

部下にプレッシャーをかけるのではなく、安心感を与える。この姿勢で接することが、部下の持つ潜在能力を最大限に引き出す鍵なのです。

中間管理職は、最強の「翻訳家」であれ

Yさんの例で言えば、部長がAさんに抱いているのは、おそらく「期待」でしょう。「もっといい結果を出せ」というのは、そうでなかった場合にがっかりする、という気持ちの裏返しです。

部長の姿勢を直接変えることは難しいかもしれません。しかし、Yさんが間に立つことで、そのメッセージを変換することができます。つまり、部長からの厳しい「期待」の言葉を、部下へのポジティブな「信頼」のメッセージへと翻訳してあげるのです。

「部長も、Aさんならもっとできると信じているから、ああいう風に言うんだよ」
「あなたはもっとすごい力を持っているし、必ず活躍できる。それを、俺は信じている」

このように、中間管理職が「信頼の翻訳家」となることで、組織の上下間のネガティブなエネルギーを、ポジティブなエネルギーへと転換することができるのです。

まとめ:あなたの「信頼」が、部下の限界を突破させる

部下を褒めてあげることは、とても大切です。しかし、そこで終わらせるのではなく、「あなたはこんなもんじゃない」と、その先の素晴らしい未来を信じてあげる。この関わり方が、部下本人も気づいていない限界を突破させ、より強いチームを創り上げていくのだと、私は確信しています。


「信じられる」という感覚を、体験してみませんか?

コーチングにおいて、最も重要な土台は「信頼関係」です。コーチは、誰よりもクライアントのことを信じています。クライアントが「できないかも…」と弱音を吐いても、「大丈夫、あなたならどうせできますから」と言い放ちます(私だけかもしれませんが笑)。

この、「誰かに絶対的に信じてもらえる」という感覚を一度体験してみると、「部下を信じる」ということが、もっと深く、腹の底からできるようになるかもしれません。

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この記事を書いた専門家

中城 卓哉(なかしろ たくや)

パワーコーチ株式会社 代表取締役
経営者・管理職専門のビジネスコーチ

「私たちは夢を叶える会社です」を経営理念に、経営者や管理職が抱える「人の問題」に特化したコーチングを提供。科学的な理論と豊富な現場経験に基づき、幹部育成、チームビルディング、組織のビジョン設定などをサポート。クライアントが本来持つ能力を最大限に引き出し、ビジョンの実現に貢献することをミッションとする。「在り方」と「やり方」の両立を重視し、小手先のテクニックではない、本質的なリーダーシップ開発に定評がある。

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