ときどき、X(twitter)の投稿などで、
「モチベーションに頼るな」
「モチベーションなんてものは不要だ」
というのを見かけます。
モチベーションを仕事にしている私としては
「おいおい、マジかよ」と思うところなんですが、
読んでみると一理あるな、と思うところもあるんですね。
モチベーションが不要だという主張は、
「モチベーションは感情であり、コントロールできない。
そんな不確実なものに頼ると仕事が安定しなくなる」
「必要なのは行動なのだから、やる気があってもなくてもやればいい。
やる気がないからやらない、というのは甘えである」
「感情に振り回されるようではプロ(社会人)として未熟である。
やるべきことを粛々とやればいい」
だいたいこんな感じでした。
たしかに、気分や感情に振り回されて仕事ができないのでは困るし、
気分によって仕事にムラがあるようではプロとして未熟だといえます。
どんな気持ちであっても、必要な行動を取ることで結果につながるでしょう。
なので、
「言ってることはわからんでもないなぁ」
と思うんですね。
ですが、感情やモチベーションについて18年やってきた経験からすると、
「その考えで粛々とやれる人は、一握り、いや、一つまみくらいの限られた人」
なんです。
人間は感情を持っているし、その感情によって行動の質は変わります。
気分が乗っていれば仕事も捗るし、悩みがあれば仕事が手につかなくなる。
これが自然な人間の振る舞いです。
「仕事なんだから感情に左右されず、粛々と行動する」
と、感情を切り離して行動できる人は、ごく稀です。
また、「粛々と」を真に受けて、
「そうだ、感情に振り回されてはいけない」と
不安や焦り、イライラなどを心の奥底に押し込めて
感情を感じないように封印してしまう人もいますが、
それをやると、短期的には行動できるかもしれませんが、
感情を押し込めたストレスが自律神経などを乱してしまい、
身体を壊してしまいます。
以前、自分のやりたいことや感情を押し殺して仕事していた女性が
急に声が出なくなり、コールセンターの仕事をできなくなったことがありました。
「感情を切り離し、粛々と」できる人のマネをして感情を押し殺してしまうと、
普通の人は健康を害することもあるので、気をつけた方がいいです。
…という話をすると、
「じゃあ、やる気が出ないときはやらなくていいの?」
「結局モチベーションに振り回されるってこと?」
という疑問が出てくると思いますが、もちろんそんなことはありません。
それだったら、私たちコーチは不要になっちゃいますし(笑)
プロのコーチは、この「感情」を上手にコントロールして
やる気のある状態を作り、行動できるようにするんです。
私たちの行動のメカニズムは
『感情→選択→行動→結果』
となっています。
多くの人は「感情はコントロールできない」と思うか
「コントロールする」と言いながら感情を押し殺すことしかできないのですが、
感情は自在にコントロールすることができます。
では、どうやってコントロールするの?
という話なんですが、実にいろいろなアプローチがありまして、
今日はそのうちの一つをご紹介します。
●フォーカスが感情を作る
感情をコントロールする技術の一つが、
「フォーカス」です。
フォーカスというと写真週刊誌を思い出す人は
私と同世代かそれ以上の方だと思いますが(笑)、
もちろん写真週刊誌ではなく、
「焦点」という意味です。
意識の焦点をどこに向けるかで、感情は変わります。
ポジティブなフォーカスはポジティブな感情に、
ネガティブなフォーカスはネガティブな感情になります。
たとえば、あれこれ難癖をつけてくる取引先がいたとき、
「面倒なことばかり言ってくる、嫌なやつだ」と
相手の嫌なところに意識を向けると、嫌な感情になりますが、
「こんな面倒なお客さん相手なら、営業力が鍛えられるな」と
自分のスキルアップに意識を向けると、逆に燃えてきたりします。
「難癖をつけてくる取引先」という状況は変わらないのに、
フォーカス一つで感情は「めんどくさいな」なのか
「燃えてくる!」なのか、真逆になってしまうんです。
そして、感情が前向きでやる気があれば、
「お客さんの言うことに、どう対応すればいいだろう」
「難癖をつけられないレベルの仕事をしてやろう」
「どうにかしてこの人に気に入られてやろう」
という思考になり、
「想定される難癖を考えて対応策を考える」
「今までの指摘を元にチェック体制を強化する」
「相手との関係を強化する方法を積極的に学ぶ」
といった、「粛々と作業する」ではたどり着かないレベルの
今まで以上の仕事をできるようになる可能性も大きいわけです。
●どうやってフォーカスを変えるの?
ただ、フォーカスというのは無意識の反応なので、
「よし、フォーカスを変えよう」と思って変わるものではありません。
「相手のいいところを見るようにしよう」とか
「物事のポジティブな面を意識しよう」とか言っても
いつの間にかネガティブにフォーカスしてしまうのは、
フォーカスを意識でコントロールするのが難しいからです。
なので、ここで脳の仕組みを使います。
脳は、「質問されると答えを探そうとする」という習性があります。
なので、質問されると、その質問に合ったフォーカスが
自動的に作られるようになっているんです。
たとえば、「昨日の夕飯、何を食べた?」と聞かれたら、
それまで朝ドラのことを考えていた人でも
「えーと、何を食べたっけ?」と、昨日の夕飯に意識が向いてしまいます。
ですから、効果的な質問をすることで
フォーカスをコントロールして、感情を前向きにするというのが
コーチングの技術の重要なポイントになるんです。
ちなみに、「質問を考える」というのは難しいので、
万能の質問を一つ、ご紹介しておきます。
これはアンソニー・ロビンスの奥様、セージ・ロビンスが使っている質問で、
「What's good in this?」というものです。
和訳すると、
「この状況の、いいことはどんなことだろう?」
みたいな感じですかね。
この質問を自分に問いかけると、現状のいい面にフォーカスが向くので
ポジティブな感情を作りやすいのです。
このあたりは、単純にいいところだけを見ようとする
「ポリアンナ症候群」になる恐れもあるので
単純に「いいところだけを見よう」というものではないのですが、
やる気や気分、感情は仕事においても大きなポイントになりますので、
意識的に前向きなフォーカスを持つ訓練をすると
感情に振り回されず、コントロールすることができるようになり、
やる気を前向きに保ちやすくなるので、試してみてくださいね。
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