この記事のポイント
- 夢や目標の価値は、その「大きさ」や「規模」で決まるわけではありません。
- 「~しなければならない」という義務感で立てた大きな目標は、あなたを幸せにするどころか、かえって苦しめることがあります。
- 最も重要な基準は、他人や世間の評価ではなく、あなた自身が「心から望み、幸せだと感じられるか」どうかです。
- たとえ「プチ夢」でも、それがあなたの心を本当に満たすなら、人生を変える最高の原動力になります。
「目標は高く、夢は大きく」という"呪い"
私のコーチングのルーツは、世界No.1コーチとも言われるアンソニー・ロビンスにあります。なので、いわゆる「成功法則」や「自己啓発」と呼ばれる分野には、かなり深く触れてきました。
そういったセミナーなどで、必ずと言っていいほど語られる言葉がありますよね。
「目標は高く持て!」
「夢は大きく持て!」
これは、「今の現実の延長線上で考えてしまうと、本当に欲しい未来よりもちっぽけな目標になってしまうよ」という、素晴らしい意図から言われていることだと思います。その考え自体は、私も全く同感です。
ですが、この言葉がいつの間にか、
「目標を高く"しなければならない"」
「夢を大きく"しなければならない"」
という、一種の"呪い"のようになってしまっているとしたら、「それはちょっと待ってくれ」と言いたくなるんです。
【ご相談の事例】「大きな夢がないんです…」と悩んでいたCさんの変化
10年以上前のことですが、私のコーチングを受けに来てくれたCさんという方がいました。彼は、とても真面目な顔でこう打ち明けてくれたんです。
「中城さん、僕には自分が本当にどうしたいのか、ビジョンみたいなものがないんです…」
「セミナーに行くと、みんな『億万長者になる』とか『日本を変える!』とか言うじゃないですか。僕には、そういう大きな夢って、どうしても持てないんですよね…」
彼は、世の中を変えたいわけでも、巨万の富が欲しいわけでもない。でも、「そんな自分ではダメなんじゃないか」と、世間の価値観と自分の気持ちとの間で深く悩んでいました。
「プチ夢でいいんですよ」という問いかけ
その真剣な表情を見て、私はこんなふうに問いかけてみました。
「なるほど。じゃあ、一旦そういう壮大な夢は横に置いておきましょうか。
代わりに、『こうなったら最高に幸せだなぁ』って思える、"プチ夢"でいいんで、自由に話してもらえませんか?」
すると、Cさんの表情が少し和らいで、こんな言葉がスラスラと出てきたんです。
「プチ夢、ですか。それなら考えやすいですね。
そうだな…僕は海が好きなので、海の近くに住んでみたいです。
人に何かを教えるのも好きだから、小さな塾の先生とかをやって…
お休みの日には、奥さんと一緒にテニスを楽しむ、とかですかねぇ」
そう話す彼の顔は、先ほどとは打って変わって、本当に楽しそうでした。
Cさんが見つけた「自分サイズの幸せ」
僕は思わず言いました。
「Cさん、それ、最高に良い夢じゃないですか!」
彼は驚いたように答えます。
「え、いい夢ですかね…?なんだか、小さすぎて恥ずかしい気がしますけど…」
「いやいや、そんなことないですよ!じゃあ聞きますけど、その生活が毎日送れたら、どんな気分です?」
「いやぁ、その生活が毎日できたら、僕にとっては、めっちゃいい人生だと思います!」
「そう!それですよ!その『めっちゃいい人生だ』って心から思えるものこそが、Cさんにとっての本当の『夢』なんです。誰かが言う億万長者より、Cさんにとってはそっちのほうが、よっぽど幸せなんですよね?」
「…はい、そうですね。お金がたくさんあったら嬉しいですけど、それよりも好きな仕事をして、好きな趣味を楽しめる方が、僕はずっと幸せです」
この対話を通じて、Cさんは腑に落ちたように言いました。
「そっかぁ…プチ夢でいいんだ。こっちの方が、断然しっくりきます。これなら、本気で目指したいと思えます!」
なぜ「大きな目標」にこだわる必要がないのか?
もちろん、現状の枠を超えた大きな夢を描くこと自体は、素晴らしいことです。今の自分に引っ張られて、本当の可能性に蓋をしてしまうのはもったいないですからね。
ただ、忘れてはいけないのは、夢や目標は「大きければ大きいほど良い」というものではない、ということです。
世間で良しとされる「大きな成功」よりも、「ささやかだけど、心から満たされる未来」を望んでいる人は、たくさんいるんです。
夢や目標を描くうえで、本当に、本当に重要なポイントは、その大きさや規模ではありません。
たった一つ、【本人が、心からそれを望み、幸せだと感じられるか】、ただそれだけなのです。
まとめ:他人の物差しではなく、あなたの心で夢を測ろう
どうか、自己啓発セミナーの熱気や、すごいと言われる経営者の言葉に引っ張られて、あなたの心が本当に望んでいる未来を見失わないでください。
誰が何と言おうと、どんなに小さく見えようと、あなたの心が「これがいい」と喜ぶもの、それがあなたにとっての最高の夢なんですから。
ちなみに、Cさんはその後、どうなったかというと…
- ある高校の校長先生にその人柄を見込まれて、高校教師に転職し、
- 念願だった、海の見える街へ移住し、
- 休日は趣味の自転車(テニスじゃなかったみたいです笑)を思いきり楽しむ
という生活を、見事に実現されました。
今でもFacebookで、本当に楽しそうな毎日を送っている様子を拝見しています。
「あなたの心が本当に望むビジョン」を描きましょう
多くの人が「コンサルの先生が言うから」「成功している先輩がやっているから」と、他人の価値観を自分の目標にしてしまいがちです。私のコーチングでは、まず最初に「あなたが本当に望むものは何なのか?」を見つけ出すことから始めます。
これは、カーナビの目的地を正しく設定するのと同じです。目的地がハッキリすれば、そこへ向かうルートは自然と見えてきて、無理なくスムーズに行動できるようになります。
あなたの「本当に欲しい未来」を、一緒に見つけてみませんか?
この記事を書いた専門家
中城 卓哉(なかしろ たくや)
パワーコーチ株式会社 代表取締役
経営者・管理職専門のビジネスコーチ
「私たちは夢を叶える会社です」を経営理念に、経営者や管理職が抱える「人の問題」に特化したコーチングを提供。科学的な理論と豊富な現場経験に基づき、幹部育成、チームビルディング、組織のビジョン設定などをサポート。クライアントが本来持つ能力を最大限に引き出し、ビジョンの実現に貢献することをミッションとする。「在り方」と「やり方」の両立を重視し、小手先のテクニックではない、本質的なリーダーシップ開発に定評がある。
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