【この記事のポイント】
- ビジネスで「値上げ」ができない根本原因は、ノウハウ不足ではなく「お客様に嫌われたくない」という無意識の恐怖心です。
- 【事例】この恐怖心を克服し、診療単価を300円から8,000円へと約26倍に引き上げ、売上と時間的余裕を手に入れた治療院があります。
- 成功の鍵は、「誰からも良い人だと思われたい」といった心のブレーキになっている「思い込み」を特定し、客観的に見直して手放すことでした。
- 価値に見合った適正な利益を得ることは、事業と自分自身、そして従業員を守るために不可欠な「正しい経営判断」です。
【導入事例】16時間労働でも儲からない…一人治療院の苦悩
ビジネスにおける「価格設定」は、永遠の課題です。安すぎれば利益が出ず、高すぎれば売れない。私もいまだに値付けに頭を悩ませることがあります。
かつて私がコーチングしたTさんも、価格で深く悩んでいた一人でした。
診療単価300円という現実
Tさんは一人で接骨院を経営していました。治療はもちろん、事務作業からチラシ配りまで、すべてを一人でこなす毎日。寝る間もないほど多忙にもかかわらず、彼の経営は火の車でした。
「朝から晩まで16時間休みなく働いても、家賃や経費を引いたら手元にほとんど残らない」
「いつまでこの生活を続けるんだろう…」「年齢を重ねたら、もうこんな働き方はできない…」
そんな先の見えない不安に、Tさんは苦しんでいました。
なぜ、これほど忙しいのに儲からないのか?
その根本原因は、たった一つ。「価格」にありました。
Tさんの接骨院は、健康保険が使える「保険診療」がメインでした。患者さんの窓口負担は1回300円程度。国からの給付金を合わせても、1回の施術で得られる売上は1,000円前後。これでは経費を引いたら、利益はほとんど残りません。
なぜ?値上げの方法を知っていても「実行できない」本当の理由
「それなら、値段を上げればいいじゃないか」
誰もがそう思うでしょう。そして、Tさん自身もそのことは痛いほど分かっていました。初回のコーチングで、こんなやり取りを何度も繰り返したほどです。
「値段を上げればいいんですよね。その方法も、実はもう知ってるんです。…あれ?わかってるなら、なぜやってないんだろう?」
当時から治療院業界では、付加価値の高い「自費診療」を取り入れて単価を上げるのが成功の定石でした。Tさんもそのノウハウを知っていたのです。しかし、どうしても実行に移せずにいました。
行動を縛る「恐怖心」という正体
なぜ、彼は行動できなかったのか。コーチングで深掘りしていくと、その原因が明らかになりました。
- 「値上げをしたら、今いる患者さんが来なくなってしまうのではないか」
- 「『金儲けに走った』と悪評が立ってしまうのではないか」
彼の行動を縛り付けていたのは、ノウハウの欠如ではなく、変化や他人に対する強烈な「恐怖心」だったのです。
「恐怖心」を乗り越えるための3ステップ
原因が「恐怖心」だと分かれば、対処法は見えてきます。それは、恐怖心の根源にある「考え方」そのものを見直すことです。
ステップ1:恐怖の根源にある「思い込み」を言語化する
まず、Tさんが何を恐れているのか、その根っこにある無意識のルールを一つひとつ言葉にしていきました。
- 「他人からどう思われるかを過剰に気にしてしまう」
- 「誰の目から見ても“いい人”でなければならない」
- 「人から否定されたり、非難されたりすることは絶対にしてはいけない」
ステップ2:その「思い込み」を客観的に再評価する
言語化された自分の考え方を、Tさん自身に改めて見つめ直してもらいました。すると、彼は自らこう気づいていきました。
「“誰の目から見てもいい人”なんて、どうやっても無理ですよね」
「“人から否定されない”なんて、自分ではコントロールしようがないですね」
こうして、自分を縛っていたルールが、客観的に見れば非合理的な「単なる思い込み」だったと気づくことで、恐怖心は急速に和らいでいきました。
ステップ3:恐怖心から解放され、行動する
心のブレーキが外れると、Tさんの行動は一変しました。もちろん、顧客との摩擦を生まない戦略は練った上でですが、これまで知っていただけのノウハウを、彼は次々と実行に移していきました。
単価300円→8,000円へ!Tさんが手に入れた未来
コーチングが終了して1年も経たないうちに、Tさんの治療院は保険診療から自費診療へと移行。診療単価は8,000円へと跳ね上がりました。
「以前の5~6割の稼働時間で、売上は2倍以上になりました。利益がしっかり残るので、生活にも精神的にも余裕が生まれました」
Tさんは、晴れやかな笑顔でそう報告してくれました。
まとめ:「わかっているけど、できない」を突破するために
Tさんの例は、決して特別なものではありません。多くの経営者やフリーランスが、「値段は安くあるべきだ」「お客様に嫌われたくない」という思い込みによって、正当な利益を得る機会を逃しています。
しかし、それでは事業はすり減り、いずれ立ち行かなくなります。価値に見合った利益をいただき、その分さらに良いサービスを提供する。この好循環を作ることが、特に私たちのような中小企業には必須です。
その重要性は、ほとんどの人が頭ではわかっています。しかし、感情がそれを妨げてしまうのです。
もしあなたが「わかっているけど、できない」という壁にぶつかっているなら、その原因はあなたの心の中にあるのかもしれません。その壁を乗り越えるお手伝いが、私たち専門家にはできます。
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