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営業で「特に困ってません」と言われたら終わり?突破口を開く魔法の質問とは

【この記事のポイント】

  • 「特に困っていない」というお客様には、無理に商品を売ろうとせず、まずは信頼関係の構築を優先するのが鉄則です。
  • 逆効果になるのは、相手の問題を無理やり探したり、しつこく現状を否定したりするNGアプローチです。
  • 突破口は「素晴らしいですね。どうやってそんなにうまくいったのですか?」という、相手の成功体験に焦点を当てる質問です。
  • この質問は「信頼関係の構築」「営業ネタの収集」「顧客の潜在ニーズ発見」という3つの大きなメリットを生み出します。

「うちは特に困ってないよ」は営業にとっての壁

「営業はお客様のお困りごとを解決する仕事だ」
これは、営業の基本として多くの人が教わることでしょう。

  • 体型に悩む方に、ダイエット商品を提案する。
  • 将来のお金に不安を感じる方に、生命保険を設計する。
  • 煩雑な事務作業に困っている企業に、業務効率化システムを案内する。

このように、お客様が抱える「問題」や「悩み」をヒアリングし、その解決策として自社の商品やサービスを提示するのが、営業の王道です。しかし、多くの営業担当者が頭を悩ませるのが、お客様からこう言われた時ではないでしょうか。

「うちは特に困ってないんですよ」

ダイエットに成功して絶好調の方、保険を見直して満足している方、業務システムが完璧に機能している企業…。
お客様に問題がなければ、解決策も必要ありません。これでは提案のしようがなく、多くの営業担当者が「これ以上、話を進められない…」と諦めてしまいます。

では、お客様が「困っていない」時、本当に打つ手はないのでしょうか?

【プロのコーチとしての経験】

私自身、以前は営業職の方に特化したコーチングを提供しており、営業のメンタルや具体的な手法についてアドバイスする機会が多くありました。その中で見えてきたのは、「困っていない」お客様へのアプローチこそが、その他大勢から一歩抜け出すための重要な分岐点であるということです。この記事では、私がコーチングでお伝えしてきた、すぐに使えて効果的な方法をご紹介します。

絶対NG!「本当は困ってるでしょ?」とアラ探しする営業

まず、やってはいけないことからお伝えします。
それは、お客様の現状のアラを探したり、問題を無理やりほじくり返そうとしたりすることです。

「いや、そうは言っても何かあるでしょう?」
「本当にそのままで将来大丈夫ですか?」

このようなスタンスは、「いらないって言ってるのにしつこいな」「売りたいがために難癖をつけている」と思われ、お客様の心を固く閉ざさせてしまいます。信頼関係が築けていない段階でこれをやれば、間違いなく逆効果です。

私の答えは明確です。
「本当に困っていないのなら、売らない」
お腹がいっぱいの人にラーメンを勧めても、ただの迷惑です。では、「さようなら」とすぐに引き下がるのかというと、それもあまりにもったいない。ここで、別のアプローチが必要になるのです。

突破口を開く魔法の質問「どうやって、うまくいったのですか?」

お客様が「困っていない」=「うまくいっている」状態であるならば、営業担当者が取るべきアプローチはただ一つ。

「素晴らしいですね!どうやってそんなにうまくいったのですか?」
「すごいですね。なぜその問題を解決できたのか、ぜひ教えていただけませんか?」

と、お客様がうまくいった理由やそのプロセスを、心からの敬意と興味を持って尋ねることです。この質問には、営業の流れを劇的に変える3つの強力な効果があります。

【メリット1】お客様の重要感が満たされ、信頼関係が生まれる

人は誰でも、自分の成功体験を語りたいものです。
「実は〇〇を徹底したんですよ」「××で苦労したけど、△△で乗り越えました」といった話を、あなたが真摯に、感心しながら聞くことで、お客様は「この人は自分を認めてくれる」「自分の話をしっかり聞いてくれる」と感じます。これは心理学でいう「重要感」を満たす行為であり、営業担当者に対してプラスの感情を抱かせ、強固な信頼関係の土台を築くことにつながります。

【メリット2】他のお客様への強力な営業トーク(成功事例)が手に入る

そのお客様には今すぐ売れなくても、その成功体験は、他のお客様への価値ある情報提供になります。
「以前お会いしたお客様で、〇〇という方法で業務効率を劇的に改善された方がいらっしゃいましたよ」
このように、具体的な成功事例を語れる営業担当者は、ただ商品を売る人ではなく、「頼りになる専門家」として認識されます。目の前のお客様からいただく成功事例は、あなたの営業トークを豊かにする貴重な財産になるのです。

【メリット3】お客様自身が「潜在的な課題」に気づく

これが最も重要な効果かもしれません。
人は、自分の成功体験を人に話しているうちに、思考が整理され、それまで見えていなかった側面に気づくことがあります。

「そういえば、ダイエットには成功したけど、好きな甘いものを我慢するのが辛いな…」
「今の保険は安心だけど、よく考えたら保険料の負担が少し重いかもしれない…」
「報告書システムは便利だけど、一部の社員が使いこなせていないのが次の課題だな…」

このように、話しているうちにお客様自身が「次の課題」や「潜在的な不満」を自ら発見するのです。営業担当者が指摘すれば「難癖」と取られかねませんが、お客様が自分で気づいた課題は、解決すべき「本物のニーズ」に変わります。

その瞬間に初めて、あなたに出番がやってきます。
「なるほど、そういう新しい課題が見つかったのですね。それは〇〇を解決できたからこそ見えた、次のステップですね。もしよろしければ、その課題解決のお手伝いをさせていただけませんか?」

ここまで来て、ようやくあなたの提案が価値を持つのです。

まとめ:営業もコーチングも本質は「相手への貢献」

相手の話に心から興味を持って耳を傾け、素晴らしい点は全力で承認する。そして、相手がさらに良くなるためのお手伝いができるなら、それを提案する。

これは営業に限らず、コーチングにおけるコミュニケーションの基本でもあります。「相手を変えてやろう」「自分の答えに誘導しよう」とした瞬間に、相手は心を閉ざしてしまいます。

「相手がもっと良くなるために、自分に何ができるか?」

この姿勢こそが、お客様との長期的な信頼関係を築き、結果として営業成績につながるのです。「困っていない」と言われた時こそ、あなたの真価が問われるチャンスだと捉えてみてください。


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