この記事のポイント
- 将来のビジョンが描けない、あるいは描いても確信が持てないのは、アイデア不足ではなく、無意識の「自己否定」がブレーキになっていることがあります。
- 「自分、ダメですね…」のような、無自覚に繰り返すネガティブな口癖は、あなたの深いレベルでの自己評価の低さを表しています。
- この無意識の自己否定が、せっかく描いたビジョンへの信頼を揺るがし、「どうせ自分には無理だ」と行動をためらわせるのです。
- 自分の「無自覚な口癖」に気づき、それを手放すことが、未来への確信を取り戻すための、最もパワフルな第一歩となります。
ビジョンはあるはずなのに、なぜか確信が持てない…
先日、ネット配信用に、私のコーチングセッションを公開収録するセミナーを開催しました。目の前でリアルなコーチングを見ていただくことで、参加者の皆さんがご自身の課題解決のヒントを見つけてくれる、という企画です。
その中で、経営者であるKさんのコーチングを行ったのですが、非常に興味深いやり取りがあったので、一足先にご紹介しますね。
Kさんが持ち込んだテーマは、「自社のビジョンを明確にしたい」というものでした。経営者として、会社の進むべき方向性を具体的に定め、そこへ向かうエネルギーを高めたい、と。これは、まさにコーチングが得意とするテーマです。
しかし、話を聞き進めていくと、少し不思議なことが分かりました。Kさんの中には、実はすでにおおまかなビジョンが存在していたのです。「会社をどんなふうにしていきたいのか」「10年後、どんな姿であってほしいのか」という問いに対して、彼の言葉からは明確な方向性が感じられました。
それなのに、Kさんご本人は、なぜか浮かない顔をしています。
【ご相談の事例】経営者Kさんが無意識に繰り返していた”ある口癖”
「うーん、でも、これってまだ明確じゃないんですよね…」
「やっぱり自分、ダメですね…」
そう言って、Kさんは腑に落ちない様子。私は、彼のその一言が、妙に気になりました。あまりにも自然に、そして無意識に、その言葉が口から出てきていたからです。
「Kさん、今、ごく自然に『自分、ダメですね』っておっしゃいましたけど、それに気づいていましたか?」
そう指摘すると、案の定、Kさん自身は全く無自覚でした。この、本人が気づかずに無意識で使っている言葉こそ、その人の本質(素の部分)であることが多いのです。つまり、Kさんは意識の上ではビジョンを描こうとしながら、もっと深い無意識のレベルでは「どうせ自分はダメな人間だ」と、自分自身に言い聞かせていたのです。
ビジョンを描くことを邪魔する「無意識の自己否定」というブレーキ
これが、Kさんが「ビジョンに確信を持てなかった」本当の理由でした。
自分自身を「ダメだ」と思っているから、その自分が描いたビジョンを、心の底から信じることができない。だから、「もっと完璧な、誰かにお墨付きをもらえるような立派なビジョンでなければダメだ」と、自分を追い込んでしまっていたのです。
問題だとわかっている悩みなら、解決策を探せます。しかし、Kさんのように、本人が無自覚に使っている「自分を制限する言葉」は、そもそも問題だと認識されていないため、解決のしようがない。これこそが、無意識のブレーキが最も厄介な点です。
言葉を変えれば、未来への確信が生まれる
そこで、セッションでは、この「自分、ダメですね」という言葉を二度と使わなくなるための、特別なスキルを使用しました。脳と感情と言葉の結びつきを切り離し、ネガティブな自己評価をリセットするアプローチです。
すると、どうでしょう。彼の口から出てくる言葉が、みるみるうちに変わっていったのです。
「あ…そうか。このビジョン、他の仲間と一緒に作っていってもいいのかもしれない」
「うん、自分はこうしたい、という軸はある。これを仲間と、もっと具体的に詰めていきたいです!」
「10年後、このビジョンが実現したら、絶対に最高ですよ!」
わずか30分のミニコーチングでしたが、彼の表情は晴れやかになり、未来への希望と確信に満ち溢れていました。
まとめ:あなたの「無意識の口癖」に耳を澄ませてみませんか?
もしあなたが、たくさん勉強し、行動しているにも関わらず、いまいち結果が出ていないと感じているなら、その原因は、あなた自身の「無自覚な部分」に隠されているのかもしれません。
無意識の領域に潜む問題は、自分一人で気づくのは非常に困難です。そんなときこそ、私たちコーチのような、客観的な視点を持つ専門家を頼ってみてください。他人の視点から見ると、あなたが長年気づかなかった問題点が、驚くほど明確に見えるものなのです。
自分が何気なく使っている言葉に、一度、注意深く耳を澄ませてみてください。そこに、あなたの人生を前に進める、大きなヒントが隠されているかもしれませんよ。
【動画公開】この時のコーチングセッションを公開しました!
記事でご紹介したKさん(動画では加藤さん)との公開セッションの様子を、動画でご覧いただけます。無意識の言葉が、どう変化していったのか。そのリアルなプロセスをぜひご覧ください。
体験コーチングのご案内
自分が自覚していない問題点を明らかにしていくことが、より深い問題解決に繋がります。体験コーチングは60分。あなたの無意識のブレーキを見つけ、未来へのアクセルを踏み込むお手伝いをします。
この記事を書いた専門家
中城 卓哉(なかしろ たくや)
パワーコーチ株式会社 代表取締役
経営者・管理職専門のビジネスコーチ
「私たちは夢を叶える会社です」を経営理念に、経営者や管理職が抱える「人の問題」に特化したコーチングを提供。科学的な理論と豊富な現場経験に基づき、幹部育成、チームビルディング、組織のビジョン設定などをサポート。クライアントが本来持つ能力を最大限に引き出し、ビジョンの実現に貢献することをミッションとする。「在り方」と「やり方」の両立を重視し、小手先のテクニックではない、本質的なリーダーシップ開発に定評がある。
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