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変にプライドの高い部下を上手にマネジメントしたMさんの話

自尊心というか、変なプライドの高い部下って、いますよね。
最近は特に多いそうですが、私が会社員の頃も、そういう社員がいました。

そういう人は、上から目線でいくと反発するし、
かといって下手に出るとつけあがって言うことを聞かないしで、
けっこう扱いにくいですよね。

今日は、そんな面倒な部下を扱うヒントをご紹介します。

 

【登場人物】
Mさん:IT企業のS社に勤務のSE。入社4年目。上司からも後輩からも信頼を集めるスーパー主任。
サッカー部出身で、人心掌握術に長けている。

Nくん:S社に今年入社した新入社員。そこそこ能力が高いので、プライドが高く扱いにくい。
仕事の詰めは甘く、ケアレスミスが目立つ。
自分の考えが正しいと思っていて、ミスをすると実に上手な言い訳をする。

 

ケース1:プライドをくすぐりながら仕事を任せる

Mさん「お前の初仕事、F社さんのプログラミングだぞ。よろしく頼むな」
Nくん「はい、よろしくお願いします!(初仕事だ〜、ワクワク)」

M「仕様書はこんな感じで、〇〇の処理をやるんだけど・・・」
N「はい、はい・・・(さて、どんなふうに進めようかな)」

M「でさ、このプログラムさ、〇〇みたいにやったらいいと思うんだよな。
それで、××すればやりやすいんじゃないかと思うんだけど、
お前、どう思う?

N「(えっ、そこまで考えてなかったな・・・)ええ、それでいいと思います」

M「そっか。じゃ、よろしく頼むな。もっといいやり方があったら教えてくれよ
M 「俺はプログラミングは苦手だから、難しいやつはお前に任せるぞ。
詰まったら一応相談しろよな。わかるかもしれないから」

N「はい、任せてください(よーし、Mさんよりいいやり方を見つけてやる!)」

 

ケース1 解説

MさんがNくんに仕事を任せたときのポイントは、大きく2つです。

 

1つは、
【「指示」ではなく「提案」をした】
ということ。

Nくんはそれなりに優秀で、自分はできると思っているので、
「こういうふうにやりなさい」と指示されると、
「いや、そうじゃなくて、こういうやり方がいいです」と反抗します。

それに対して、「こうやろうと思うんだけど、どう思う?」と提案されたり、
意見を求められると、素直に受け入れやすいのです。

 

先輩が自分に意見を求めてくれた、というのは、
認められた実感があって、プライドの高い人の心を開く作用があります。

 

また、もう1つが
【「あなたはできるよね」という前提で「頼りにしている」姿勢で接した】
という点です。

Nくんは、自分が優秀だと思いこんでいますから、
「あなたは優秀だよね」「できるよね」と扱われると満足します。

「俺は苦手だから、任せるぞ」とすることで、
自分が大きな責任を任されているんだと自覚し、責任を持ってやろうと思えます。

 

当然、MさんはNくんよりもスキルは高く、今回の仕事は全部自分でこなせるはずですが、
あえて「俺は苦手だからな」という立場をとっていたのですね。

その上で、難しいところは先回りしてフォローしますし、ミスがないかの確認は怠りません。
そのやり方は、次のケースを見てみましょう。

 

★プライドの高い部下の扱い方(1)
「あなたの意見を尊重するよ」という姿勢で、「指示」ではなく「提案」する

★プライドの高い部下の扱い方(2)
「あなたはできるよね」という前提で「頼りにしている」姿勢で接する

 

ケース2:新人の仕事の進み具合を確認する

仕事中、Nくんのパソコン画面を覗き込んで、

Mさん「お、面白い処理をやってるじゃん。すごいなぁ。
ここのところは、どうやってデータを扱ってるの?」
Nくん「ああ、これはですね、〇〇を××して、△△の機能を使ってるんです」

M「へぇ、やるじゃんか。調子良さそうだな。
進み具合はどれくらいなの?
N 「予定より少し速いですよ。これなら納期には間に合うと思います」
M「そうか、さすがだな。その調子で頼むぞ」

 

別の日、Nくんの仕事が一区切りついたタイミングで

M「あのさ、26番のプログラムなんだけど、これは難しそうだよな。
考えたんだけどさ、〇〇の処理ならうまくいくと思うんだ。
前にO先輩が作ったプログラムを参考に送っておくから、確認しといてな」

 

ケース2 解説

任せた仕事がきちんと進んでいるか。これは部下を持つと常に気になることですよね。
ここでMさんは、うまく進捗を確認しています。

 

ポイントは、「監視」するのではなく、「さりげなく気にかける」こと。

 

「どこまで進んだのか、報告しろ」「進捗はどうなんだ?」ではなく、
先にNくんの仕事ぶりを見て、どのようにやっているかを話させています。

その上で、「どう、進んでる?」という軽いニュアンスで進捗を確認することで、
プレッシャーを与えずに、報告しやすい空気を作っています。

ちなみに、本来なら定期的にNくんが報告すべきなのですが、
先にMさんが歩み寄っていることもポイントです。

 

それから、部下がつまづきやすそうなポイントでは、先回りしてフォローしています。

これも、「これは難しいから、このやり方でやれ」ではなく、
「難しいからこれを参考にするといいよ」と、あくまでヒントを与えるにとどめています。

 

プライドの高い部下は、「言われたとおりにやる」のでは自分の自尊心が満足しないので、
自分で考える余地を残して、「ヒントはもらったけど、あくまで自分の力でやった」という
達成感を味わわせるのが重要なのです。

 

★プライドの高い部下の扱い方(3)
監視するのではなく、さりげなく仕事の具合をチェックする

 

ケース3:仕事のミスを指摘し、指導する

ある程度プログラムを作り終えたタイミングで・・・

Mさん「だいぶ完成してきたな。ここらで、ちょっとテストしてみようぜ」
Nくん「そうですね。じゃ、テストデータを用意して、と・・・」

M「あ、〇〇の場合のテストデータも用意しとけよ。間違いやすいから

 

プログラムをテストしてみると・・・

M「このデータって、ここに出るんでいいんだっけ?」
N「あれ、おかしいな・・・ これじゃまずいですね」

M「そうか、違ってたか。先に見つかってよかったな。
じゃ、どこが違ってたのか、わかったら教えてくれよな」

N「ここの処理を忘れてたのが原因でした。修正したらちゃんと動くようになりました」

M「そうか、速かったな。じゃあ、同じような処理のプログラムも処理を忘れてるかもな。
一緒に確認してみなよ

N「あ、そうか。わかりました」

 

ケース3 解説

仕事をしていれば、ミスはつきもの。特に新人の頃は、よく失敗しますよね。
そんなとき、プライドの高い部下は、頭ごなしに叱ったりすると逆効果です。

Mさんは、プログラムのミスを指摘するのではなく、
「実際に自分で確認させる」ことで、「自分で」気づかせました。

 

他人に指摘されると、プライドが傷つくので、言い訳をしたり認めなかったりするのですが、
自分で見つけたミスは、自分の責任だと思えます。
また、ミスがあったときに、それを責めずに、自力で対処させたことも重要なポイントです。

さらに、別のミスの可能性もさりげなく指摘し、自分で対処するように仕向けることで、
また「自分でミスを発見した」経験をさせることで、
失敗を経験に変えさせるというのも、上司の仕事ですね。

 

★プライドの高い部下の扱い方(4)
間違いは指摘するのではなく、自分で気づかせる
間違いを見つけたら、見つけたことを承認し、対処させる

 

そんなわけで、Mさんはプライドの高いNくんをうまく手なづけて、仕事を完遂させました。
お客さんからの評価も上々、無事にプロジェクトは終了したのでした。

そのときもMさんは、「よくやったじゃん、お客さんも喜んでたよ」と
Nくんに手柄を持たせ、きちんと承認してくれるのも忘れませんでした。

 

この一件を通して、MさんはNくんの心をガッチリ掴み、
NくんはMさんのことを「認めてくれる先輩」と思うようになりました。

この関係ができていると、少し厳しいことを言ったり、無茶な要求をしても、受け入れやすくなります。

 

実際、NくんはMさんからの無茶振りや無理難題に対して、
ちょっと文句を言いながらも、断ったりせずに頑張って応えていましたので。

自分を信じて任せて、認めてくれる先輩には、できるだけ報いたいと思ったのですね。

 

Mさんがやったことは、
・部下の個性や性格、技術レベルなどを普段からよく観察する
・重要なポイントだけは先回りして押さえておく
・基本的に部下に任せる。失敗しても責めない。
・普段から気にかけて、コミュニケーションをとる
・できた手柄は部下に持たせる
ということでした。

 

これを全部、完璧にやりましょうというと難しいと思いますが、
1つだけでも取り入れると、マネジメントが激変します。

Nくんのような、「できるだけ部下にしたくない部下」をうまく働かせ、
きちんと成果を出した人の手法です。
ぜひ、皆さんのマネジメントに活かしてみてくださいね。

 

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