コーチングでは、よく「相手の基準を上げる」アプローチをします。
もう少し馴染みのある言葉だと「目標を吊り上げる」みたいな。
コーチング的なマネジメントをしていると、
「目標を自分で決めさせる」というアプローチが多くなりますが、
これをやって困るのが、
「部下が設定する目標が低すぎる」ということです。
最初から目標を低く設定しておくことで、
「今季の目標を達成した」というハードルが低くなり、
「できなかった」というネガティブな体験を避ける心の働きなんですよね。
こういう部下だと、結局は最低限のことしかしないので、
目標設定を任せても生産性が上がらず、
「そんなんじゃダメだ、もっと高い目標にしなさい」
と、結局上司が目標を押し付ける、なんてことも。
そうではなく、あくまで部下が「もっと高い目標にしよう」と思えるような
関わり方ができればいいですよね。
そういうとき、コーチングの立場ではどうやっていくのでしょうか?
もちろん、単一のスキルだけですべてが解決するわけではありませんが、
とても有効なのが、
「目標を短期と長期に分ける」というアプローチです。
相手に「短期目標と長期目標の両方を立ててもらう」のです。
具体的には、5年、10年の中長期目標と、
数ヶ月〜1年以内くらいの短期目標を考えてもらうんです。
10年も先の目標だと、「できなかったらどうしよう」という
「できなかった痛み」を感じにくくなります。
(そもそも、10年も目標を覚えていられません 笑)
しかも、10年先だと、もはや夢のような話になりますので、
それを考えるのはわりと楽しくなってきます。
上司としても「もっとできるんじゃない?」と煽れるし、
部下も、もっと大きな夢を描きたくなります。
そして、10年先の大きな目標を、楽しい感情で描いた後に、
「それじゃ、それを実現するために、1年でどれくらいやろうか?」
という、短期目標へのアプローチを始めるわけです。
こうすると、「今、そこそこの努力で達成できる」という基準ではなく、
「自分で描いた、10年後の夢に届く」という基準で目標を考えるので、
普通に考えるより、高い基準の目標を考えやすくなるのです。
人は、夢を持ちたいし、それを叶えたいもの。
業務上の数字ももちろん大切なので、しっかりあげていただきたいですが、
数字「だけ」ではなく、そこに気持ちも乗せていきたいものです。
★売れる人材を育成するコーチングスキルのポイント
目標の前に、夢を描かせよう
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