★コーチングで言う「答えはあなたの中にある」は本当か?
「答えはあなたの中にある」
「答えは相手の中にある」
これ、コーチングに関わるとよく聞く言葉です。
答えは相手の中にあるんだから、コーチは答えを教えるんじゃなくて
相手の中から答えを引き出すんだよ、
というような文脈でよく使われます。
で、コーチングのセミナーや研修をやっていると、
よく受講者の方から言われることがあるんです。
「答えは相手の中にあるといっても、答えがない場合もありますよね?」
実は私も、「答えは相手の中にある」には懐疑的で、
「答えが相手の中にない場合も多々あるよね」と思ってます。
以前コーチングしていた生保レディさんたちの例で言うと、
会社からは「とにかく設計書(保険の提案書)を配れ」と言われ、
営業なんてやったことがないから、言われたとおりに
とにかく設計書を渡しまくるんだけど、
相手からは「いらないよ」と言われ、嫌な顔をされ、
営業に行くのが嫌になってしまう…
こんなパターンがほとんどでした。
この生保レディさんの「どうすれば売上が上がるか?」という問題に
「答えは相手の中にある」と言って引き出そうとすると、
「とにかく設計書を配る」しか知らないわけですから、
「もっと頑張って、たくさん設計書を配る」
という答えが出てきちゃいます。
当然、それでは売上は伸びません。
私はコーチですから、人の無限の可能性を信じていますが、
それでも正直、「知らないものは知らない」んですよね。
だから、知らないことについて引き出そうとしても、
必要な答えは出てこないわけです。
では、やはり答えを教えるべきかというと、そうでもなくてですね。
もちろん、知らない知識は教える必要があるんです。
設計書を配りまくる営業手法とは違う、
ちゃんとお客さまに喜ばれる営業のやり方は知識としてありますから、
それは知識として、きちんとお伝えすればいい。
ただ、
「このやり方が正解だから、この方法でやりなさい」
と、正解を教えるのは、私は違うと思ってるんです。
こうすると、相談者は問題を自分ごととして捉えにくいし、
答えを自分で考えないので、指示待ちになってしまいます。
他人に言われた方法でうまくいかないと、
「あの人に言われたとおりにやったのに、うまくいかなかった」と
他人のせいにして学ばないので、いつまでも成長しません。
そうではなくて、
「知らないことは知っている人が教える」
「だけど、それを材料に、答えを選ぶのは本人」
というのが重要です。
生保レディさんの例で言うなら、
「設計書を配りまくる方法もある」
「とにかく関係構築だけをしにいく方法もある」
「専門家ポジションで相談される人になる方法もある」
「お金のセミナーを開く方法もある」
と、コーチが知っていればいろいろな方法を示すことはありますが、
そのどれを選ぶかは本人に委ねる、ということです。
こうすると、相談者はものすごく考えます。
そして、自分の頭で、自分で判断して、自分で決めることになります。
もしかすると、選んだ選択肢が失敗するかもしれません。
だけど、「自分で考えて選んだ結果」なので、それは自分の責任です。
自分の責任というと冷たい、厳しいと感じるかもしれませんが、
自分の責任だと思えれば、反省することも学ぶこともできます。
失敗を糧に、成長することができるというわけです。
回り道をするかも知れませんが、そうやって経験を重ねることで
いずれ「成功」にたどり着くことができるでしょう。
「答えは相手の中にある」ではなく、
「答えは相手が考えて、自分で選ぶ」なのです。
このプロセスは、本人からすると「厳しい、しんどい」ですが、
「自分でやっていく力を身につける」ことができます。
まさに「自立」へのプロセスです。
「コーチがいないと何もできない」人ではなく、
「コーチの存在を活用して成長する」人へ。
コーチングって、そういう関わりなのではないかと思っています。
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